小規模事業者持続化補助金の審査で、実質的に合否を分けるのが「様式2(経営計画兼補助事業計画①)」です。どれだけ良い取り組みでも、様式2の書き方次第で評価が大きく変わります。この記事では、審査で実際に見られている4つのポイントについて、それぞれ書く前に整理すべきフレームワーク・チェックリスト・良い例とNG例まで詳しく解説します。
この記事の目次
- 様式2とは?
- 審査で見られている4つのポイント
- ①自社の経営状況分析の書き方
- ②経営方針・目標の書き方
- ③補助事業計画の有効性の書き方
- ④経費の積算の書き方
- よくあるミス・注意点
- よくある質問
- まとめ
様式2とは?
様式2は正式名称を「経営計画兼補助事業計画①」といい、次の2つの内容を1つの様式にまとめて記載します。
- 経営計画:自社の現状分析、今後の経営方針・目標
- 補助事業計画:その方針を実現するために、今回の補助金で何に取り組むか
文章量に制限はなく、箇条書きでの記載も認められています。文章を書き慣れていない方は、無理に長文でまとめようとせず、要点を箇条書きで整理する書き方の方がおすすめです。
審査で見られている4つのポイント
| 評価項目 | 見られているポイント |
|---|---|
| ①自社の経営状況分析の妥当性 | 自社の強み・弱みを客観的に把握できているか |
| ②経営方針・目標と今後のプランの適切性 | 方針が自社の強み・弱みを踏まえ、売上増加につながる内容か |
| ③補助事業計画の有効性 | 取り組み内容が具体的で、実現可能性・効果の根拠が示されているか |
| ④積算の透明・適切性 | 計上した経費が事業計画に見合った、明確な金額になっているか |
以下、それぞれの項目を詳しく見ていきます。
①自社の経営状況分析の書き方
ここで審査員が見ているのは、「自社のことを客観的に理解できているか」です。主観的な自信ではなく、根拠のある強み・弱みの整理が求められます。
書く前に整理する3つの視点
- 顧客の視点:どんな客層が、なぜ自社を選んでいるか(年齢層、地域、リピート率など)
- 商品・サービスの視点:competitorと比べて何が違うか(価格、品質、独自性、スピードなど)
- 地域・立地の視点:立地条件、周辺人口、地域内での競合状況
書く前のチェックリスト
- ☐ 直近の売上・客数など、手元にある数字を確認したか
- ☐ 顧客アンケートやレビュー・口コミなど、第三者の声を集められたか
- ☐ 競合や同業他社と比べたときの違いを、一言で説明できるか
- ☐ 弱み(改善すべき点)も正直に洗い出したか(弱みを把握できていること自体が評価される要素です)
良い例・NG例
| 業種 | ◎良い例 | ✕NG例 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 地元産の食材を使用したメニューが評判で、口コミサイトの評価が地域内で上位10%に入っている | 味に自信がある |
| 小売店 | 周辺に同業の店舗が少なく、半径2km圏内では唯一の専門店として一定の来店客数を維持している | 他店より良い商品を扱っている |
| 士業・専門サービス | 顧問先の8割が紹介経由であり、既存顧客からの信頼度の高さが強みになっている | 専門知識が豊富である |
②経営方針・目標の書き方
①で分析した強み・弱みと、方針が矛盾なくつながっていることが重要です。また、対象とする市場や顧客のニーズを踏まえた内容であることも評価対象になります。
書き方のフレームワーク(誰に・何を・いつまでに)
- 誰に:ターゲットとする顧客層や市場を明確にする
- 何を:①の強みを活かして、どんな価値を提供するか
- いつまでに・どれくらい:可能な範囲で数値目標と達成時期を設定する
書く前のチェックリスト
- ☐ 目標は「①で示した強み」を活かす内容になっているか
- ☐ 対象とする市場・顧客のニーズ(地域の人口動態、季節要因、生活スタイルの変化など)に触れているか
- ☐ できる範囲で構わないので、売上高や客数などの数値目標を入れているか
良い例・NG例
| 業種 | ◎良い例 | ✕NG例 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 共働き世帯の増加という地域の傾向を踏まえ、テイクアウト需要を取り込むためオンライン予約システムを導入し、売上を前年比10%増加させる | もっと売上を伸ばしたい |
| 小売店 | 近隣に競合が少ない立地を活かし、来店できない高齢者向けに配達サービスを新設することで、客数を年間で1割増やす | お客様を増やしたい |
③補助事業計画の有効性の書き方
審査基準では「補助事業計画には、デジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか」も評価対象として明記されています。可能であれば、システムやITツールの活用を計画に含められないか検討してみましょう。
書き方のフレームワーク(5W1H)
- Who(誰に):②で定めたターゲット顧客
- What(何を):具体的な取り組み内容(例:ホームページ制作、新商品開発など)
- Why(なぜ):①②とのつながり、なぜこの取り組みが必要か
- How(どうやって):実施方法、活用するツールやシステム
- When(いつまでに):補助事業実施期間内のスケジュール
- 効果:売上高・売上総利益がどう変化する見込みか
書く前のチェックリスト
- ☐ 「何を」だけでなく「なぜ」を書いているか(①②とのつながりの明記)
- ☐ 効果を売上高・売上総利益の増加という形で説明できているか
- ☐ デジタル技術・システムを活用する要素を入れられないか検討したか
- ☐ 補助事業実施期間内に完了できるスケジュール感になっているか
良い例・NG例
| 業種 | ◎良い例 | ✕NG例 |
|---|---|---|
| 飲食店 | オンライン予約システムの導入により、電話対応にかかっていた時間を削減し、その分の人員を接客強化に充てることで客単価を8%向上させる | 最新のシステムを導入して業務効率化を図る |
| 製造業 | 展示会に出展し、新規開発した試作品を商談会でBtoB顧客に紹介することで、年間3社との新規取引を目指す | 展示会に出て新規顧客を増やしたい |
④経費の積算の書き方
見積書の内容と、様式2・様式3の記載内容が一致している必要があります。「なぜその金額が必要なのか」を説明できるようにしておきましょう。経費区分ごとに対象・対象外の線引きが細かいため、記載前に対象経費の記事もあわせて確認しておくと手戻りが少なくなります。
書く前のチェックリスト
- ☐ 見積書の内訳(項目・単価・数量)が明確になっているか
- ☐ 「一式」のような曖昧な表記だけで済ませていないか
- ☐ 発注総額が50万円(税込)を超える場合、2者以上の見積を取得しているか
- ☐ 発注先が代表者・役員の親族(3親等以内)や関連会社になっていないか
- ☐ 経費区分(広報費・ウェブサイト関連費など)を正しく分類できているか
良い例・NG例
| ◎良い例 | ✕NG例 |
|---|---|
| 見積書の内訳(システム利用料、初期設定費用など)を様式内でも簡潔に説明し、事業計画の内容と対応関係が分かるようにしている | 「システム一式」など、内訳が不明確な記載のみで金額の根拠を示していない |
よくあるミス・注意点
- 経営計画と補助事業計画がつながっていない:自社の強み・方針の話と、実際の取り組み内容が別々の話になってしまうケースがよく見られます。①→②→③→④が一本のストーリーとして読めるかを、書き終えた後に見直しましょう。
- 「販路開拓」の要素が薄い:業務効率化の取り組みのみでは対象外です。必ず販路開拓(新たな顧客層の獲得、新商品・サービスの開発など)の要素を含める必要があります。
- 過去に採択された事業と同じ内容になっている:過去に持続化補助金で採択された事業者は、以前と明確に異なる新しい取り組みであることを説明する必要があります。
よくある質問
Q. 様式2はどれくらいの文章量で書けばいいですか?
A. 文章量に制限はありません。要点を押さえていれば、箇条書き中心でも問題ないとされています。無理に長文にする必要はなく、審査項目に沿って必要な情報を過不足なく書くことが重要です。
Q. 数字の根拠がない場合はどうすればいいですか?
A. 正確な統計データがなくても、自社の売上実績や顧客アンケートなど、手元にある情報を根拠として示すことである程度の客観性を持たせることができます。何も示さないよりも、簡易的な根拠でも示す方が評価されやすくなります。
Q. 商工会・商工会議所に相談すれば書いてもらえますか?
A. 事業支援計画書(様式4)の発行にあたり、商工会・商工会議所から助言を受けることはできますが、様式2の作成自体は事業者自身が主体的に行う必要があります。第三者に丸ごと作成を依頼した場合、その旨を申請時に申告する義務があるため注意してください。
まとめ
- 様式2は「経営計画」と「補助事業計画」を1つにまとめた、審査で最も重要な書類
- 審査は①経営状況分析②経営方針③補助事業計画の有効性④積算の透明性、の4項目で評価される
- ①は3つの視点(顧客・商品/サービス・地域)、③は5W1Hのフレームワークで整理すると書きやすい
- それぞれの項目で、主観ではなく根拠のある具体的な記載を心がける


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